プチビジネス的田んぼ【二階から目薬・資本主義からスローライフ③】

ずっと昭和の価値観が続いてきました。
大きいことはいいことだ、ってやつです。
確かにいいことはたくさんありました。
物や食べ物が不足していた時代から、こんなに豊かな時代になった原動力は昭和の価値観でしょう。
でも、永遠に無限に大きくなり続けることはできません。
なぜなら、その原資は有限の地球だからです。
小学生でもわかります。
いや、小学生の方がわかるかもしれません。
ましてや、今の日本は、人口がもう増えていないのですから。
そういう状況で、ずっとものづくりや経済を大きくしていくということは、どういう意味があるか、考える必要があるでしょう。

さて、いつもの前置きでしたが、農的生活をいかに持続するか、という連載です。
農的生活をスローライフ、なんて呼ぶ人がいますが、それは全然やったことがない人か、あるいはお金にかなり余裕のある人ということでしょう。
実際は超忙しいからです。

それはやっぱり、金を稼ぐ必要があるからです。
いくら生活をコンパクトにして支出を下げたとしても、息をするだけで金のかかる時代を生きているのです。
月曜から金曜まで勤めに出て、生活費を稼ぎつつ、農的な生活も取り入れるなんて、いや、きついですね。
2、3年は頑張って続けられるかもしれません。
新鮮味もありますし。
だけど、大抵辞めちゃうのです、残念ながら。
継続するなら、その辺をとことん考えないといけません。

前回の話は、農的生活の中心は田んぼがオススメ、という話でした。
畑じゃなくて、田んぼです。
田んぼはハードルが高いと感じるかもしれませんが、優先順位は野菜より米が高いですね。
なんてったって主食ですから。
そして、米は保存性が高いから売りやすいのです。
野菜のように収穫してすぐに売り切る必要はありません。
さらに、すべての作業工程を機械化することもできます。
田んぼの機械化の歴史は古いですから、たくさんの機械が販売されています。
しかも、田んぼのやり方自体は昔と基本的には変わりません。
だから、古い機械でも工夫次第で問題なく使えます。
今から田んぼをするには、意外と好条件が揃っているのです。

片手間で田んぼをするのです。
現代人は生活費を稼がないといけないから、時間が全然ないのです。
ここが昔の人との大きな違いです。
毎日毎日、田んぼだけをしているわけにはいきません。
お金持ちならそれでもいいかもしれませんけども。
要は、農的生活といえども効率的な作業がある程度求められるのです。

というわけで、狙いは中古の農機具です。
中古の農機具を安くゲットして田んぼをするのです。
いちいち新品を買っていたら大変なことになります。
そして、一度買ったら一生使える、なんてものはありません。
必ずいつか買い換える必要があります。
だから、次に買い換える時までにその買い替え資金を準備する必要があります。
商売をしたことのない人は、ここの理解が甘い可能性があります。
買い替え時期が来たときに買い替え資金がないとしたら、それはその分のお金を食いつぶしたということです。
本当は、その機械の購入費も稼がないといけないところを、そこまで稼げなかった、ということです。
そうなると、ビジネスは先細りになって、必要なものや消耗品すら買えなくなって、そのうちに行き詰まります。
そこの部分はよく考えておいてください。

だから、小さな片手間の農業に大きな借金はダメ、絶対です。
例えば、何十年ローンで家を買うと、そのローンのためにずっと稼ぎ続ける必要があります。
生き方はローンによって支配されます。
でも、タダに近いような中古の家を買って工夫して住むなら、ローンに縛られる事はないかもしれません。
ビジネスでもこれと全く同じことが言えます。
どちらを選ぶかは自由ですが「考えて」ください。

要は、田んぼをどこまで小さくできるかを考えるのです。
高い機械を導入すれば、その分稼ぐ必要がありますから、田んぼを大きくする必要があります。
田んぼを大きくすると、機械もまた大きくする必要が出てくるかもしれません。
そうすると借金も増えますから、ますます田んぼを広げる必要があります。
それは、たくさんの米を作って売る、ということです。
もう、全部を自分で売るなんて不可能です。
JAにおろす、米屋さんにおろす、ということになります。
買取価格は安くなります。
それがまた田んぼを広げる必要性につながっていきます。

これが昭和の価値観での農業です。
ザ・拡大路線、無限に続く右肩上がりの成長です。
めちゃくちゃ忙しいです。ブラックです。
そういうことがやりたいんじゃないんです。
だから、田んぼをどこまで小さくできるかを考えます。
機械をどれだけ小さくできるか、何なら手作業でもいいかもしれません。
工夫して何とかなりませんか。
徹底的に考えるのです。

田んぼを小さくすることを考えると、全てが逆になっていきます。
稼ぎも小さくなるかもしれませんが、これはプチビジネスなんです。
半農半Xの半農の方です。
半Xするために必要な時間を確保するのです。
僕らはお金の奴隷ではありませんが、田んぼの奴隷でもありません。

なぜ農的生活をしたいと思ったか、憧れたのか、もう一度考えてみてください。
自由になりたかったんじゃないでしょうか?
そこに自由があるんじゃないかって感じたんじゃないでしょうか?
だけど、その初心はすごく忘れやすいのです。
農的生活は、それ自体が目的でもありますが、自由になるための手段、とも言えます。
それをいかに実現するか、ここが最も重要で優先することではないでしょうか。

さて、続きはまた明日にしましょう。

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