ミネラルは循環の証です【たまにはピロール話③】

ピロール農法で作ったピロール米はミネラルたっぷりでアルカリ性になります。
米は見た目じゃわかりませんが、成分を検査すればその中身がわかります。
ピロール米を作ってピロール米として販売するには、この検査を受けて、アルカリの米になっていることを毎年確認する必要があります。
そうして、みんなで毎年答え合わせをしているんです。
「できた作物が良い感じだから、作り方も良い感じだ」ということです。

米がアルカリになるのは、ミネラルの量とバランスによるもので、これは農法や作物の良し悪しのひとつの目安になります。
なぜなら、ミネラルは元素であり、合成して生み出すことはできないからです。
ミネラルは、地球上をぐるぐると循環しているだけです。
だから、作物に含まれるミネラルの量は、地球の循環がきちんと機能しているかどうかの目安にもなるのです。

ところで、ピロール農法の「ピロール」とは何でしょうか?
聞き慣れない言葉ですが、これも世界を循環する物質のひとつです。
化学の世界では「有機物の素」とも言われ、僕ら動物にとっても非常に大事なものです。
なぜなら、ピロール(四つの環でできた構造)は、動物の血液中のヘモグロビンの素なのです。

作物に含まれるピロールが動物の体内に入ると、4つの環の中に鉄(Fe)が入ってヘモグロビンができます。
ヘモグロビンは約2〜3ヶ月間、体内で働き、最終的にし尿で排泄されます。
そのとき鉄は離れ、環も解体されます。
し尿が土の中に戻ると、それは微生物の餌となります。
ピロールは植物の根から吸収され、今度は葉緑素の素になるのです。

動物にとって血液が重要であるように、植物にとっても葉緑素は非常に重要です。
この重要なものの原料を支えるのがピロールです。
ですが、今は土の中でピロールの循環が滞っていると言われています。
その原因が、シアノバクテリア、つまり「シアちゃん」の元気がないことです。
シアちゃんは微生物の親玉のようなもので、酸素を供給して周りの微生物たちが活動できる環境を作ります。
微生物も植物も動物も、シアちゃんが酸素をたっぷり出した世界で誕生したのです。

ピロールが循環する土の状態で作物を育てると、ミネラル豊富な作物ができます。
ピロールが循環するということは、ミネラルもまた循環しているということだからです。
ちなみに、ピロール米からはビタミンB12も検出されます。
通常、ビタミンB12は分子が大きすぎて根から吸収されないのが常識ですが、ピロールが循環している環境、つまりシアちゃんが元気な環境ではキレート化物質が増えます。
キレート化は潤滑のような役割を持ち、ミネラルを吸収しやすくするため、植物の根からも吸収できるようになります。

ちなみに、植物の根と動物の腸の構造はよく似ています。
キレート化されたミネラルは根からも腸からも吸収しやすくなります。
サプリメントなどでも「キレート」という言葉を見かけますが、口から摂取しても腸で吸収されないなら意味がないということを指しているわけです。

僕らの体はその辺にあるものでできています。
地球上にあるものだけで構成され、体内の物質は常に入れ替わっています。
僕ら自身が循環の一部なんです。
ミネラルの多い作物ができるということは、循環がうまくいっている証です。
自分自身がこの大きな循環の中にいるとき、物事は健全に、自然になります。
そういうことを求めるなら、ピロール農法はとても面白く、興味深い農法です。

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真っ赤な葉っぱ、真っ赤な血液。
どちらもピロールが絡んでいます。
世界は循環しています。
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